
阪神とオリックスの“関西ダービー”で、甲子園は異様な雰囲気に包まれた。
そのシーンは両者譲らず0−0で迎えた9回表オリックスの攻撃時。先頭打者の廣岡大志が放ったライナーが阪神・石井大智の頭部に直撃する当たりに。
マウンド付近に担架が運び込まれそのまま退場、場内は石井の容態を心配するなど騒然とした。
しかし、その後すぐに怒号へと変わる。無死一塁で試合が再開すると、次打者・西川龍馬の二ゴロで中野拓夢が二塁に転送し、遊撃の小幡竜平が併殺を狙おうと一塁へ送球しようとした。
走者の廣岡はスライディングするも、二塁ベースを外れ小幡に向かって滑り込んだ位置に見え、二人は接触。小幡の膝が廣岡の右脇腹付近に入り、廣岡はその場でうずくまった。
小幡はすぐさまアピールし、藤川球児監督も危険なプレーだとして一塁ベンチを飛び出し抗議した。右手の親指を上げてアウトのジェスチャーを見せリクエストを要求し、結果併殺が認められた。
かつては“併殺崩し”として野手目掛けたスライディングを行うことは戦略として存在したが、安全を考慮し17年から禁止となっている。そのため、廣岡には警告が与えられた。
藤川監督は試合後、廣岡が石井に対して罪悪感を感じていた様子を見ており、スライディングも避けようとした可能性があるとし、「明日元気にプレーしてもらえたらいいんじゃないでしょうか」と慮った。
廣岡も石井を心配すると共に、交錯については送球が外れた場合に備えて進塁できるように膨らんでしまったと説明。
「僕も二遊間をやっていて、選手に行くのはダメっていうのは分かっている。そういう気持ちは一切ないです」と故意ではないと話した。
この日は阪神が延長戦を制しサヨナラ勝ちを収めたが、さまざまな感情が入り混じった試合となった。
記事/まるスポ編集部