カヌースラローム会場では、シドニーオリンピック日本代表・安藤太郎さんが解説を務める
9月29日に競技が始まった「第20回アジア競技大会(2026/愛知・名古屋)」のカヌースラローム。男女のカヤックシングル、カナディアンシングルに加え、今大会では男女のカヤッククロスも実施される。激流を舞台とする競技だが、一人ずつタイムを競う種目と、複数の艇が同時にスタートして着順を争う種目では、勝負の見方が異なる。
大会で解説を務めるシドニー五輪日本代表の安藤太郎氏に、初めて観戦する人に注目してほしいポイントを聞いた。(取材・文/大楽聡詞)
一人ずつ激流を下り タイムを競う
カヤックシングルとカナディアンシングルは、選手が一人ずつコースを下り、ゲートを通過しながらタイムを競う。カヤックは両側にブレードがついたパドルを使い、カナディアンは片側にだけブレードがあるパドルを使う。
コースには、流れに沿って通過するダウンストリームゲートと、流れに逆らって入るアップストリームゲートが設けられる。安藤氏が特に差の生まれやすい場所としてあげるのが、アップストリームゲートだ。
「うまく入れば、勢いを生かして一気に抜けられます。しかし、入り口のラインを少し間違えるだけで、余分に1秒、2秒とかかってしまう。そうしたミスが二つ重なれば、後半で挽回するのはかなり難しくなります」
ゲートのポールに触れれば2秒、ゲートを正しく通過できなければ50秒のペナルティーが加算される。速くフィニッシュしても、ペナルティーによって順位が入れ替わる可能性がある。
ゲートを抜けるまでのパドルの数に注目
選手の技術を見分けるには、どこに注目すればいいのか。安藤氏が勧めるのは、パドルの回数を見ることだ。
「難しく考えず、ゲートを抜けるまでに何回パドルを使ったかを見てほしいですね。例えば、ある選手がアップストリームゲートを抜けるまでに3回漕いだのに対し、別の選手が2回、あるいは1回のパドルで抜ければ、その差がタイムに表れます。パドルを一度動かすだけでも時間がかかります。『今の選手はワンパドルで出た』と分かれば、専門的な技術を知らなくても、すごさを感じてもらえると思います」
白い波を乗り越えるタイミングも見どころの一つ。流れに押し戻されず、ボートの先端を適切な角度で波へ入れられるか。激流を前へ進む力として利用する技術が、タイムにつながる。
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