カヌースラローム会場では、シドニーオリンピック日本代表・安藤太郎さんが解説を務める
カヤッククロスは着水から順位争い
カヤッククロスは、基本的に4艇が同時にスタートして先着を争う。高い位置に設けられたスタート台から、選手がボートごと水面へ飛び込み、ゲートを通過しながら流れを下る。
「基本的には4艇が同時にスタートして、先着を争います。誰がトップにいるのかが一目で分かるので、カヌーを知らない人でも楽しみやすいと思います」
最初の勝負どころは、スタートと着水だ。
「着水した時点でスピードに大きな差がつくと、後ろの選手が追いつくのは簡単ではありません。1位で抜け出した選手は、そのまま勝つケースが多いんです」
先頭の選手が有利になるのは、速さだけが理由ではない。
「2位と3位の選手が前へ出ようとして、互いに競り合います。その間に1位の選手が逃げ切る展開が多い。だから最初に前へ出られるかは、非常に重要です」
一方、ゲートの不通過や指定された方向の誤りなどがあれば、フォルトや降格の対象となる。タイムに秒数を加算する従来のスラロームとは判定の仕組みが異なり、見た目の着順と正式順位が変わることもある。
「本当にいろいろなアクシデントが起こります。入れ替わりも激しくて、『この選手が勝つの?』という結果も十分にあり得ます」
繊細な技術と接近戦 それぞれの魅力
一人で水の流れと向き合い、繊細なパドル操作で最速のラインを探るスラローム。接触や駆け引きが生じるカヤッククロス。新種目が誕生した当初には、選手や指導者の間で戸惑いもあったという。
「あれは自分たちのカヌースラロームではない、従来の競技が持つ美しさとは違うという議論がありました」
それでも、実際に挑戦することで受け止め方が変わる選手もいた。
「最初は好きではなかった人たちも、実際に挑戦してみると『やってみたら、すごく面白いじゃないか』と考えが変わっていきました。自分たちの競技を守るためにも、新しい種目に取り組もうという選手が増えています」


