【パラカヌー・瀬立モニカ】東京パラに向けて「メダルを取るため」の種をまく。リオの経験を活かした施策(前編)

――でも、当初は「パラカヌーをするつもりはなかった」と伺いました。

瀬立そうですね。前述の通り、カヌーはバランスを取ることが難しい競技ですから、「怪我をした私には絶対できない」と思っていたんです。

怪我をして以降の私は、腹筋と背筋が使えないため、背もたれなしでは座ることができません。その状態で体幹だったり、バランスが必要なカヌーに乗れるわけがない。だから、お誘い頂いたメールは返信しませんでした。

ただ、あまりにも熱心にメールをくださるので、「一度カヌーに乗って、ワザと落ちれば相手も諦めてくれるだろう」と考え、カヌー場に行ったんです。そうしたら、誘ってくださった方が一枚上手でして(笑)。

というのも、そこには競技艇ではなく、バランスの取りやすいレジャー艇が用意されていたんです。「これは乗らないとマズイな」と思い、心を決めて乗ることにしました。

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――しっかり瀬立選手のことを考えてくれていたんですね。久しぶりにカヌーに乗ってみていかがでしたか?

瀬立実際に乗ってみたら、カヌーってすごく楽しくて(笑)。それまでは体育の授業も「瀬立さん、車椅子で危ないから見学ね」と言われていましたし、大好きで得意分野だったはずの体育が、いきなり不得意な分野になって。

「運動ができない」ことに対し、すごくコンプレックスを抱いていたんです。なので、久しぶりにカヌーに乗った時、改めて身体を動かせることの喜びを感じましたね。

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また、パラカヌーの「前を見ずに、何も考えずに直進できる」ことにとても魅力を感じまして。例えば、陸上だと階段や段差を気にしながら生活しなければいけませんが、水上だとそれが一切ない。

「水上はバリアフリー」という言葉があるように、健常者と同じように動ける、それがパラカヌーの大きな魅力なんです。そこに気づき、2014年から本格的にパラアスリートとしての競技人生を歩き始めました。

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