【DDTプロレス 高木三四郎】プロレスを、さらに世間に拡げていく(後編)

――WRESTLE-1では学校を設立しましたよね。

高木:学校は昔からやりたかった。浅井校長(ウルティモドラゴン)は闘龍門と言う学校を立ち上げ、TAKAみちのくさんがKAIENTAI DOJOを始めて、ディック東郷さんもベトナムでプロレス学校を開校しました。学校経営というかレスラーの育成には以前から興味があったんです。

僕の個人的な考えとして、プロレスはコーチングが一番重要だと思っています。もちろん素質もありますが、基本はコーチングです。選手が良くなる良くならないはコーチの力が大きい。だからコーチがキチンとしていれば団体のレベルは一定以上になるし、コーチがダメなら選手の素質が良くてもダメです。ですから初期のDDTはディック東郷さんにコーチをお願いしました。東郷さんは世界中のプロレスを知っている方ですから。

誤解を与えるかもしれませんが「プロレスは職人の世界、伝統芸能」です。技術を伝えられる人間が、ちゃんとした形で伝えないとダメです。その中でも教える人のプロレスに対する考え方・イデオロギーと呼ばれるものだったり、その人が得意なジャンル・不得意なジャンルで、教わる方が変わっていくのも面白いところです。

例えば、メキシコのルチャをマスターしている人間が教えると、その生徒たちはみんな動きがルチャっぽくなります。メジャー気質の団体の教え方は、そう言った教え方はしません。そこで選手の考え方が変わってきます。

ですから今回、全日本プロレスの秋山さんに来て頂いたのは、DDTも体の大きい選手が増えて来たので、そのエッセンスを学べると考えました。秋山さんは「俺が体感している王道を」という言い方をしていますが、DDTにもメジャーの血が必要なのかなと思いました。スキルとして「ある」と「ない」とでは大違いですから。

高木:今、秋山さんにゲストコーチとして定期的に選手の練習を見て頂いています。ベースの部分はディック東郷さんに教えてもらったものを忠実に守っていますが、プロレスが多様化している中で、いろいろなことに技術対応できた方が良いと思い、秋山さんにお願いしました。

学校の話に戻ると、WRESTLE-1には近藤修司という闘龍門の教え方を全部受け継いでいる選手がいました。また、以前WCWにパワープラントという養成所がありました。これはWWEのパフォーマンスセンターとほぼ同じ規模で、各分野のプロフェッショナルを集めて選手の育成に力を注いでいました。カズハヤシさんは、そのパワープラントを経験している。この2人がいれば、すごい学校ができると思いました。それに天才・武藤敬司の閃きを伝えることができれば、素晴らしい選手が誕生します。

武藤さんの閃きってすごいんです。常人には考えつかないことを思いつきますね。ある時、武藤さんが「俺、女子の団体をやりたいんだよ。女の方が、感情が出るんだ」と言われたときに「武藤敬司すげぇ」と思いました。「女子の戦いは男子よりも感情が濃く出るから、女子プロレスをやりたい」と武藤さんは言っていましたね。

学校を通して才木玲佳ちゃんや亡くなられてしまいましたが木村花ちゃんが卒業、僕個人としてレスリングマスター武藤敬司による女子プロレスを観たかったですね。

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